技能実習制度の問題とは?原因・背景や対策、事例、受け入れ方法を解説|外国人・グローバル人材採用|Connect Job
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- 3月18日
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更新日:3月19日

外国人労働力の活用が注目を集める日本では、これまで「技能実習制度」が運用されてきました。「技能実習制度」は、外国人が日本で技能を習得し、実習生の母国の発展に寄与するという理念を掲げながらも、一部の受け入れ現場では低賃金や長時間労働など、さまざまな問題が指摘されてきたのも事実です。
さらに、技能実習生が失踪してしまうケースや、実習生が労働災害に遭うなどのトラブルも相次ぎ、行政や企業の間で対策が急務となっています。
この記事では、技能実習制度の概要や「特定技能」と「技能実習」の違い、技能実習生が直面する問題点、その背景・原因、実際に発生した問題の実例などをご紹介します。また、技能実習生を受け入れる企業が講じるべき対策や、外国人労働者を受け入れるために必要な準備などについても、分かりやすく解説いたします。
目次
そもそも「技能実習制度」とは?分かりやすく解説

日本国内で深刻化する人手不足への対応策として、外国人の労働力を確保したいと考える企業が増えています。その一方、「技能実習制度」がどのような仕組みになっているのか、実際にはよく分からないという人も少なくないと思います。
ここでは、技能実習制度の目的や仕組みについて、分かりやすく説明していきます。
技能実習制度の目的と仕組み
技能実習制度の目的を「日本企業の労働力確保」と考えるケースもあるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
技能実習制度の正式な目的は、「開発途上国の経済発展を支援するために、技能移転を行う」というものです。技能実習制度を通じて、外国人が日本の先進技術や知識を学び、自国へ持ち帰って母国の発展に寄与してもらうのが狙いです。
しかし、現状としては労働力不足の解消に活用されている側面が大きく、制度の実態と建前に乖離があると指摘されてきました。
技能実習制度には、以下のような制度や仕組みが存在します。
在留資格とその在留期間
技能実習制度における在留資格は「技能実習」で、1号~3号までの段階があります。
1年目は「技能実習1号」、2~3年目は「技能実習2号」、4~5年目は「技能実習3号」とステップアップでき、最長5年まで在留することが可能です。
また、原則として家族の帯同は認められず、また実習先の企業を自由に変えることも認められていません。
制度の仕組み
実習生を採用する際、多くの企業は「団体監理型」という形式を利用します。これは非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する仕組みです。
海外の送り出し機関で技能実習生を選抜・教育して日本に送り、監理団体が日本企業への実習を手配し、実習生は監理団体と連携しながら受け入れ企業で実務を経験します。
外国人技能実習制度の現状

厚生労働省や出入国在留管理庁の統計によると、技能実習生の数は年々増加し、ピーク時には40万人以上の在留者を記録しました。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時的に入国者数が減少した時期もあります。

国籍別ではベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどアジア圏からの実習生が特に多い状況です。

最も多く活用されている産業分野は、建設関係や食品製造関係、機械・金属関係などです。
技能実習制度(技能実習生)が抱える問題点やトラブル

技能実習制度の本来の目的・趣旨は、外国人と日本企業の双方にメリットがある制度ですが、運用上でさまざまな問題が表面化しています。
ここでは、技能実習制度が抱える代表的な問題点を6つ取り上げ、それぞれどのようなトラブルが起きているのかを解説します。
低賃金や残業代の未払い問題
初めに取り上げる技能実習制度が抱える問題点は、技能実習生が低賃金で働かされている問題や、技能実習生に対する残業代が未払いの問題です。
外国人差別的な低賃金
技能実習生は、日本人と同等の雇用待遇を受ける権利があります。しかし実態としては、実習生だから安く雇っても良いと考える企業や経営者が存在し、最低賃金を下回る報酬を支払われる例が後を絶ちません。
残業代の未払い
慢性的な人手不足の現場では、長時間労働が常態化しているケースが存在します。本来は時給換算で割増賃金が支払われるはずですが、残業代の不払いや一部しか支払われないといった問題が目立ちます。こうした賃金トラブルが原因で技能実習生が失踪することも多く、企業側にも深刻な影響を及ぼしています。
出典:
出入国在留管理庁『外国人技能実習生の失踪を発生させないために』(pdf)(2025年3月現在)
長時間労働が強制されている問題
外国人実習生を活用する背景として、企業が安価な労働力の確保を期待してしまうことも事実です。中には、安い賃金で長時間労働を強いている悪質なケースも見られます。
法定労働時間を超過した長時間労働が常態化すると、疲労によるミスや事故のリスクも高まり、労働災害が発生する恐れもあります。
出典:厚生労働省『技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況』(pdf)(2024年7月現在)
技能実習生が失踪してしまう問題
「想定よりも低い賃金」「業務内容が違う」「残業が多すぎる」といった不満が爆発し、技能実習生が受け入れ企業を離れ、不法滞在・不法就労に至るケースが増加しています。技能実習生の失踪者数は、令和5年には9,753人で過去最多となり、一部は犯罪に巻き込まれるという深刻な事態も生じています。
出典:法務省 出入国在留管理庁『技能実習生の失踪者の状況(推移)』(pdf)(2024年7月現在)
技能実習生がけがや事故に遭う問題・労働災害
危険が伴う作業の場合、言葉の壁もあって安全教育が十分に行き届かず、けがや重大な事故につながるケースがあります。特に工場や建設現場などでは保護具の使用、機械操作の注意、衛生管理などを徹底しなければなりませんが、説明が不十分だと理解が追いつかずに労災を引き起こす可能性が高まります。
出典:厚生労働省『技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況』(pdf)(2024年7月現在)
技能実習生へのハラスメント問題
技能実習生は日本語能力が十分でないことが多く、主張やSOSを伝えにくい立場にあります。その弱い立場を利用して、暴力や暴言、セクハラなどのハラスメントが行われる例も後を絶ちません。被害が発覚しづらく、深刻化してから問題視されることが多いのが現状です。
出典:厚生労働省『技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況』(pdf)(2024年7月現在)
技能実習生が犯罪へ関与してしまう問題
技能実習生として働いていても、実際には十分な賃金が得られず、母国で負った借金返済に追われている人も少なくありません。経済的に追い詰められた結果、「短期間で大きく稼げる」という甘い誘いに乗り、外国人技能実習生が窃盗や詐欺などの犯罪へ加担してしまうケースも存在します。
技能実習制度(技能実習生)で問題が起きやすい原因や背景

上記のように、技能実習制度は多くの問題を抱えていますが、その根底にはいくつかの原因や背景が存在します。ここでは、特に指摘されるポイントを5つ解説します。
労働条件や労働環境の認識にギャップがある
多くの外国人技能実習生は、「日本で働けば高い賃金を得られる」「きちんとした技術が学べる」という期待を抱いて来日します。
しかし、実際には地域の最低賃金しか支払われない、業務内容が単純作業ばかりといったギャップに直面することでモチベーションが大きく下がり、失踪や犯罪への加担などのトラブルにつながりやすくなります。
出典:出入国在留管理庁『外国人技能実習生の失踪を発生させないために』(pdf)(2025年3月現在)
言語の壁により意思疎通が難しい
企業と技能実習生のあいだでコミュニケーションがスムーズに取れないと、現場での不当な扱いを管理部門に伝えられないなど、ハラスメントや不当な扱いを受けても黙ってしまうリスクが高まります。
逆に指示を伝える側も、相手が理解できていると思い込んで実際には伝わっていないことがあり、ミスや事故のリスクが高まってしまいます。
出典:厚生労働省『技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況』(pdf)(2024年7月現在)
文化や宗教の違い
技能実習生が出身国で育んできた文化・宗教観と、日本の慣習との間に衝突が起こることがあります。例えば食習慣や休日、祈りの時間などについて実習生と企業の間で行き違いがあると、技能実習生は大きなストレスを感じてしまい、受け入れ企業への不信感を高める結果になりかねません。
受け入れ企業と技能実習生双方の確認不足
具体的な業務内容や給与体系、残業の頻度などを事前に明確に共有しなかったり、監理団体や送り出し機関からの説明が不十分だったりすると、外国人技能実習生が実際に働き始めてから「聞いていたのと違う」という不満が起こりやすくなります。
送出機関(現地ブローカー)に関する問題
技能実習生の中には、母国で高額の手数料や仲介料を負担して来日するケースが少なくありません。出入国在留管理庁が令和4年に技能実習生2,000名超を対象に実施した聴取調査(以下「実態調査」)によると、実習生の半数超(54.7%)が来日前に借金をしていたことが明らかになっています。
さらに、母国の送出機関または仲介者(ブローカー)へ支払った費用の平均額はおよそ54万円に上り、国籍別ではベトナムが約68万円、中国が約59万円、カンボジアが約57万円など、国・地域によって大きなばらつきがあることもわかりました。
このような多額の借金を抱える背景には、悪質なブローカーの介在や不透明な手数料の徴収が指摘されています。例えば、厚生労働省が実施した海外の送出機関へのヒアリングでは、「たくさんのブローカーが訪れ、1人あたり14万円程度の謝礼を求めてくる」「ブローカーは複数の機関が提示する仲介料を比較し、紹介先を決める。結果的に実習生が負担する手数料が高くなってしまう」といった証言が得られました。こうした構造が、結果的に実習生本人の費用負担を増大させる一因になっています。
出典:
実際に発生した技能実習生(技能実習制度)の問題・ニュース事例

技能実習制度や技能実習生に関して、現実にどのような問題が起きているのかを把握することは、受け入れ企業が対策を講じる上でとても重要です。
ここからは、実際に報道された事例を紹介しながら、技能実習生や受け入れ企業で起きたトラブルについて見ていきましょう。
中国人実習生の計画と実際の実習に相違(2020年7月、岡山県)
2020年7月、岡山県の実習先で、中国人実習生が認定された実習計画と実際の業務内容に大きな乖離がある事例が報じられました。本来、実習計画は技能習得を目的とするはずですが、実習生は計画外の単純作業に従事させられ、制度趣旨から逸脱していました。受け入れ企業によるこのような計画外業務の割り当ては、技能実習法に基づく重大な違反とされ、監督機関が調査に乗り出しています。
また、外国人技能実習機構によると、計画と実習内容の不一致は非常に多く、2022年度には3,968件が確認され、全国で1,723件の計画認定取消が出されたと報告されています。企業は認定された実習計画に基づいて実習を行う責任があり、変更が必要な場合は所定の手続きが求められます。さらに、実習生への十分な説明とフォローアップを行い、契約と異なる業務による精神的負担を軽減することが急務です。
出典:
外国人技能実習機構『外国人技能実習機構業務の概況』(pdf)(2024年7月現在)
ベトナム人実習生のハラスメントと賃金未払い(2022年4月、宮城県)
宮城県石巻市の水産加工会社で働いていたベトナム人女性技能実習生3人が、上司からのパワーハラスメントと時間外労働の賃金未払いを理由に訴えを起こしました。彼女らは2019年10月から2022年2月まで勤務し、早朝の掃除業務に対する賃金が支払われず、上司から怒鳴りや暴言を受け、退職を強要されました。最終的に、2022年8月末に会社は1人当たり約65万円、労災被害者には別途120万円を支払う和解に至りました。
また、実習生の一人は記者会見で「会社には反省してほしい。同じように困っている人がいたら相談してほしい」と訴え、劣悪な労働環境に置かれた外国人労働者への支援を呼びかけました。
今回の事例は、受け入れ企業が労働基準法や労働安全衛生法を遵守し、公正な労務管理を徹底する必要性を示しています。
出典:朝日新聞『ベトナム人実習生側が企業と和解 パワハラの慰謝料など支払い合意 [宮城県]』(2022年10月現在)
フィリピン人技能実習生へのマタニティハラスメント(2022年10月、福岡県)
福岡県内の特別養護老人ホームで介護職として働いていた26歳のフィリピン人技能実習生が、妊娠を理由に帰国強要され、事実上退職に追い込まれたとして、監理団体(大分市)および施設運営法人を提訴しました。彼女は2019年に来日し、翌月から介護業務に従事していましたが、2021年4月の妊娠判明後、出産・育休後の復帰を希望しても、監理団体から帰国同意書への署名を強要され、勤務を外されました。監理団体は「契約違反」として罰金支払いと帰国を求め、中絶をほのめかす発言があったといいます。2022年10月に提訴、2023年1月には福岡地方裁判所で初公判が開かれ、慰謝料などが求められています。
妊娠や出産を理由に解雇や退職を強要することは男女雇用機会均等法違反であり、技能実習生にも日本人と同様の保護が必要です。本件は、実習生全体の約4人に1人が「妊娠したら帰国」という扱いを受けている出入国在留管理庁の実態調査の結果とも一致しており、技能実習制度における人権問題を浮き彫りにしています。受け入れ企業や監理団体は、産休・育休取得後の復帰支援など、実習生が安心して働ける環境づくりに努める責務があります。
出典:
窃盗容疑で元技能実習生逮捕(2024年12月)
2024年12月、兵庫県警はベトナム国籍の元技能実習生男女2人(31歳と29歳)を窃盗容疑で逮捕しました。彼らはドラッグストアで健康食品などを盗む窃盗団に関与し、兵庫や京都など17府県で計144件、約1,760万円相当の被害を出していました。
2人は2016~2017年に来日し、劣悪な労働環境(重労働・低賃金)から逃亡、その後別の在日ベトナム人に誘われ2023年8月頃から窃盗行為に及んだとみられています。
この事件は、過酷な労働条件により実習生が失踪し、行方管理が困難になる現状を示しています。企業は、実習生に過度な負担をかけない適正な労働環境と、万が一の失踪時に迅速に対応する体制の整備が求められます。
技能実習生の問題を未然に防ぐために企業が行うべき対策

技能実習生をこれから受け入れようと思っている企業が、上記で取り上げたような問題を未然に防ぐにはどうすればよいでしょうか。
以下でご紹介するような具体的な対策を講じることで、技能実習生を受け入れ後のトラブルを大幅に減らせる可能性があります。
日本人労働者と同等の労働条件・労働環境の整備
技能実習生だからといって、賃金や福利厚生を過度に切り下げていいわけではありません。技能実習生も労働基準法などの労働関係法令が適用される労働者なので、日本人労働者と同等以上の報酬や労働条件を確保する必要があります。また、住環境や健康管理なども適切に配慮し、安心して働ける環境を整えることが重要です。
定期的な教育や相談機会の設置
仕事の進め方や安全に関することなど、技能実習生が分からないまま放置されてはミスや事故を誘発します。定期的に教育プログラムを組み込む他、日本語以外でもコミュニケーションが取れる相談窓口を用意して、問題が小さいうちに解決へ導く仕組みを作ることがポイントです。
受け入れ企業による不法行為の是正や社内理解の促進
もし賃金未払いやハラスメントなどの不法行為が発覚した場合は、速やかに是正措置を取りましょう。外国人技能実習機構や監理団体から指導を受けるだけでなく、悪質な場合は許可取消などの行政処分を受けるリスクがあります。企業としての社会的信用を失うことにもなりかねないため、問題の早期発見と是正が欠かせません。
また、職場の日本人従業員に対して、外国人技能実習生がどのような目的で働きに来ているのか、文化や宗教的背景はどうなっているのかを理解してもらう場を設けると良いでしょう。相手の文化に対する理解や尊重を深めることで、無自覚なハラスメントや誤解が起きるリスクを軽減できます。研修やセミナーを開催し、多文化共生の意識を育てることも重要です。
信頼できる監理団体を選出
企業単独型で受け入れることが難しい場合は、監理団体を活用することになります。監理団体の質はまちまちで、悪質な監理団体を選んでしまうとトラブルを生む原因にもなりかねません。
技能実習生に不適切な対応を行ったり、違反行為を見逃したりする可能性があるため、監理団体選びは慎重に行って下さい。監理団体を選ぶ時は、過去の実績や評判、運営体制などをしっかり確認することが大切です。
特定技能1号への移行の推進
技能実習制度は最大5年間ですが、特定技能制度などへ移行すればさらに長期的に活躍してもらうことができます。そのため、まず技能実習生として特定技能1号への移行条件を満たし、特定技能への移行を目指すと良いでしょう。
技能実習生が現場で経験を積み、専門技術や日本語能力を高めれば、特定技能試験に合格して新たな在留資格を得られます。
日本国内での研修や現場経験を通じてスキルアップした人材に長く働いてもらうために、キャリアパスを提示したり資格取得を支援したりする取り組みが効果的です。
「特定技能」と「技能実習」の違い

技能実習制度と並んで近年注目を集めているのが「特定技能」です。2019年4月にスタートした特定技能制度は、深刻な人手不足を補うことを主目的として導入された在留資格であり、技能実習制度と似ている部分がありますが、実は大きな違いも存在します。
以下では特定技能の仕組みと、技能実習との主な相違点を整理します。
特定技能(特定技能実習生)とは?
特定技能制度は、人手不足が深刻な産業16分野(2025年現在)において、一定の試験(技能試験と日本語試験)に合格した外国人を「即戦力」として受け入れるための在留資格を付与する仕組みです。
なお、特定技能制度では特定技能1号と特定技能2号に分かれており、特定技能1号で働けるのは16分野、特定技能2号で働けるのは11分野となっています。
特定技能1号・特定技能2号の違い
特定技能1号は、介護、ビルクリーニング、製造、飲食、宿泊、農業、建設など、計16分野にわたる比較的基礎的な業務に従事する労働者を対象としており、必要な技能と日本語能力を証明する試験に合格すれば在留が認められます。
一方で特定技能2号は、現在のところ建設業や造船・船舶工業といった、熟練した技能や実務経験が求められる11分野に限定されます。特定技能2号はより厳しい技能検定をクリアする必要があるため、求められる能力や実績は格段に高いものとなっています。
在留期間
「特定技能1号」は、通算5年まで在留可能です。
「特定技能2号」に移行すると在留期限に上限がなく、一定の要件を満たせば家族の帯同も可能です。
転職の可否
「特定技能1号」の場合、同じ業種であれば転職が可能です。転職するには改めて在留資格の手続きが必要ですが、技能実習と比べると柔軟性が高いと言えます。
「特定技能」と「技能実習」の違い一覧
以下の表では、「特定技能」と「技能実習」の主要な違いをまとめています。
比較項目 | 技能実習 | 特定技能 |
制度の目的 | 開発途上国への技術移転(国際協力) | 人手不足の解消 |
在留期間 | 最長5年(1号:1年、2号:2年、3号:2年) | 1号:最長5年2号:3年、1年又は6か月ごとの更新(更新回数に制限なし) |
受け入れ職種 | 91職種167作業(2025年現在) | 特定技能1号は16分野、特定技能2号は11分野(2025年現在) |
転籍の可否 | 原則不可(特例あり) | 同じ業種・分野であれば可 |
入国時の試験 | なし (介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) | 分野別技能試験+日本語試験(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) |
家族帯同 | 原則不可 | 1号は不可、2号は可能 |
監理団体の介在 | 団体監理型は必要 | 受け入れ機関や登録支援機関で管理 |
対象となる外国人の特徴 | 技能を身に着けたい発展途上国からの若者が中心 | 一定の専門性や技能を獲得した技能実習生など、経験者・試験合格者が中心 |
出典:
出入国在留管理庁『外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』(pdf)(2025年1月現在)
法務省 出入国在留管理庁『外国人技能実習制度について』(pdf)(2024年11月現在)
JITCO『在留資格「特定技能」とは』(2025)
上記のように、技能実習が「国際協力」としての性格を持つ一方で、特定技能は「深刻な人手不足の解消」を狙いとしています。実習生が日本で学ぶという視点よりも、実際の労働力として活躍してもらうことが重視されるのが特定技能の大きな特徴です。
特定技能が創設されたことで企業の選択肢は増えていますが、実際には「最初は技能実習で入り、後から特定技能へ移行する」という流れも多く見られます。
なお、特定技能の対応職種などについて詳しくは、以下の記事をご覧下さい。
「技能実習制度」から「育成就労制度」へ
日本の外国人雇用制度において、大きな転換点となるのが「育成就労制度」です。従来の技能実習制度は、技能の移転を目的としていましたが、実際には人材不足を補う手段として活用されてきた側面があります。その結果、労働環境の問題や、適切な人材育成が行われないといった課題が指摘されてきました。
こうした課題を受け、新たに導入されるのが育成就労制度です。2024年6月に改正出入国管理法が成立し、2027年頃に施行予定のこの制度では、人材確保と育成の両立が目的とされています。具体的には、外国人労働者を3年間の育成期間で「特定技能1号」相当の水準に引き上げることを目指します。これにより、外国人労働者が単なる短期労働力ではなく、長期的に日本の産業を支える存在となることが期待されています。
育成就労制度の導入に伴い、従来の技能実習制度は廃止される見通しです。新制度では、企業が外国人労働者を受け入れる際の負担軽減や、労働者の権利保護の強化も図られる予定です。こうした変革によって、日本の外国人労働者制度は、より持続可能な形へと移行していくでしょう。
外国人技能実習生受け入れの具体的な方法

技能実習生を受け入れる際には、企業として具体的にどのような準備が必要なのでしょうか。
以下では、初めて外国人技能実習生を採用する場合に意識すべきポイントをまとめていきます。
受け入れの流れ(団体監理型)
外国人技能実習生を企業が受け入れる場合、受入方法には企業単独型と団体監理型があります。ここでは、団体監理型の流れを紹介します。

1. 監理団体との契約
海外の送り出し機関がどのように技能実習生を選抜するか、監理団体と相談しながら人数や予算、業務内容などを決定します。
2. 実習計画の作成・認定申請
技能実習計画書を作成し、外国人技能実習機構の認定を受けます。業務内容や待遇などが適正かどうか、事前にチェックされます。
3. 在留資格申請
実習計画が認定されたら、出入国在留管理庁に在留資格認定証明書交付申請を行い、実習生のビザ発給を進めます。
4. 入国・講習
実習生は日本に到着後、所定の日本語講習や生活指導を受けます(団体監理型の場合は監理団体が実施)。
5. 実習開始
企業で実習がスタートします。労働条件をしっかり守り、安全教育を徹底し、定期的なフォローを行いましょう。
出典:法務省 出入国在留管理庁『外国人技能実習制度について』(pdf)(2024年11月現在)
監理団体や送出機関の適切な選定方法
悪質な監理団体や送り出し機関を選んでしまうと、トラブルの元となります。監理団体や送出機関は、以下の観点で選定するのがおすすめです。
実績の有無
どのくらいの期間、何人を受け入れてきたのか。処分やトラブル履歴はあるのか。
サポート体制
日本語教育や生活サポートに積極的か、実習生からの相談にきちんと対応しているか。
費用の妥当性
監理費や紹介手数料が不当に高額ではないか。料金プランが分かりやすく、透明性が高いか。
なお、監理団体の登録には主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)からの許可が必要です。監理団体に対する許可の有無や処分歴は、外国人技能実習機構(OTIT)のホームページに掲載されています。監理団体を選ぶ際は必ず最新の許可リスト・処分情報をチェックしましょう。
まとめ:技能実習生の問題解決には受け入れ企業の努力が不可欠
技能実習制度は本来、開発途上国の人材育成を目的とした国際貢献の仕組みですが、実際には日本国内の人手不足を補うための側面が強くなっています。低賃金や長時間労働などの劣悪な環境で働かせる企業が存在する一方、実習生の側でも高い期待を持って来日したにもかかわらず、賃金の未払いなどで失踪に追い込まれるケースも後を絶ちません。
技能実習制度や外国人技能実習生の問題を防ぐためには、まず受け入れ企業が日本人と同等かそれ以上の待遇を保証し、文化・言語の違いを尊重しながら適切に教育・サポートすることが不可欠です。また、信頼できる監理団体や送出機関の選択や、実習計画との整合性を保った業務を行うこと、社内で外国人を受け入れる土壌を整えることも大切です。
さらに、技能実習のあとの選択肢として「特定技能」の制度を活用し、実習生が長期的に働ける道を開いておくことで、日本企業側も戦力を安定的に確保できます。グローバルな競争力を高める上でも、技能実習生をはじめとした外国人労働者の受け入れ環境の整備は欠かせません。
技能実習制度は、2027年6月までに廃止となり、「育成就労制度」に切り替わります。「育成就労制度」では、外国人材を介護、建設、農業などの分野で労働力として迎え入れ、原則3年で「特定技能」の水準まで外国人材を育成し、確保することが目的となる制度です。
「育成就労制度」の開始にあたって、従来の技能実習制度のように不適正な利用や人権侵害が取り沙汰されることがないよう、企業や監理団体、社会全体で意識を高めていくことが、今後ますます求められていきます。
出典:NHK『外国人材「育成就労制度」運用の基本方針を閣議決定』(2025)
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