企業における外国人労働者問題の原因と解決策・働きやすい環境づくりのコツも解説|外国人・グローバル人材採用|Connect Job
- Hayato Kuroda
- 3月14日
- 読了時間: 16分
更新日:3月19日

日本における人手不足の深刻化に伴い、多くの企業が外国人労働者の採用を積極的に検討しています。しかし、外国人労働者の受け入れにはさまざまな課題が存在し、企業の人事担当者は対応に苦慮している、という現状です。
本記事では、外国人労働者を取り巻く問題の実態と原因を明らかにし、具体的な解決策や働きやすい環境づくりのポイントを解説します。人手不足解消のために外国人採用を検討している企業担当者の人に、ぜひ参考にして頂きたい内容です。
目次
日本の外国人労働者の現状とは
受け入れ人数の推移と増加する理由
厚生労働省が2025年1月31日に公表した「外国人雇用状況の届出状況(令和6年10月末時点)」によると、日本における外国人労働者数は230万2,587人に達し、前年比25万3,912人(12.4%)増加しました。
外国人を雇用する事業所数も34万2,087所で、前年比2万3,312所(7.3%)増加し、いずれも届出が義務化された平成19年以降で過去最多を更新しています。
この急増の背景には、日本の労働力人口の減少と高齢化、企業の国際競争力強化のための多様な人材確保、政府による外国人労働者受け入れ拡大政策、特定技能制度の創設(2019年4月)による新たな在留資格の整備などがあります。
在留資格別の内訳では、「専門的・技術的分野の在留資格」が71万8,812人(全体の31.2%)と初めて最多となり、次いで「身分に基づく在留資格」が62万9,117人(27.3%)、「技能実習」が47万725人(20.4%)と続いています。
日本における外国人労働者の現状
国籍別に見た外国人労働者数
国籍別ではベトナムが57万708人(全体の24.8%)と最多で、中国(40万8,805人、17.8%)、フィリピン(24万5,565人、10.7%)が続きます。産業別では製造業が59万8,314人(26.0%)で最多、医療・福祉分野は11万6,350人(前年比28.1%増)と急増しており、建設業も17万7,902人(前年比22.7%増)と大きな伸びを示しています。
技能実習制度や育成就労制度の創設
日本政府の外国人労働者政策は、近年大きく転換しています。2019年4月に導入された特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するために創設されました。
さらに、2024年3月に政府が閣議決定し、2024年6月に改正出入国管理法が可決・成立した「育成就労制度」は、2027年頃の施行が予定されています。
この育成就労制度は、技能実習制度に代わる新制度として創設され、目的は人材確保と人材育成の両方を実現することにあります。育成期間(3年間)で特定技能1号水準の人材育成を目指し、企業には適切な労働環境提供や教育プログラム実施が求められます。
事業所規模別に見た外国人労働者数
令和6年10月末時点の統計では、30人未満の小規模事業所における外国人労働者数は全体の36.2%を占めています。外国人採用は、「一部の多国籍企業に限った特殊な採用」ではなくなっていることがわかります。
外国人関連の労働相談の推移
東京都のデータによれば、外国人関連の労働相談は平成25年度以降、概ね2,000件台で推移しており、言語の違いによる意思疎通の問題、気質および労働慣行などの相違を発端としてトラブルとなっているケースが数多く見られています。
外国人の採用には、まだまだ多くの課題が残されているという現状があることがわかります。
出典:
外国人労働者に広がる問題点とその原因

技能実習生の低賃金問題
外国人労働者、特に技能実習生の低賃金問題は深刻な課題です。出入国在留管理庁の調査によると、2017年1月~2018年9月に失踪した技能実習生5,218人に関する調査では、不正行為が認められた事例の約44%が賃金関連の問題でした。内訳は最低賃金違反(58人)、契約賃金違反(69人)、賃金からの過大控除(92人)、割増賃金不払い(195人)となっています。
令和6年度の経済財政白書によれば、日本人と外国人の間の賃金差は28.3%に達し、技能実習生は日本人より20~30%低い賃金水準で働いていているようです。日本人と外国人の間に格差が生まれている現状が見受けられます。
出典:
過酷な労働時間・過重労働の問題
外国人労働者は長時間労働や過重労働の問題も存在します。
一部の事例では、違法な残業や休日労働の強制、適切な健康診断の未実施なども報告されており、十分な休息確保が難しい環境に置かれているようです。
労働時間管理の問題は、外国人労働者の健康と安全に大きな影響を与えています。
人種差別の問題
職場や地域社会における差別は、外国人労働者が直面する深刻な問題です。就職や賃貸住宅の契約時における差別、職場でのハラスメント、日常生活における偏見などが考えられます。
一部の職場環境では、「外国人だから」という理由で危険な業務、不可の高い業務を優先的に割り当てられるケースや、出身国に対する偏見に基づく発言も見られるようです。このような差別は離職率増加の一員となるだけでなく、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼし、仕事の生産性が下がる可能性があります。
コミュニケーション不足・言語の違いによる障壁
言語の壁は業務上のさまざまな問題を引き起こします。例えば、業務指示の誤解による作業ミスや品質低下、安全に関する重要情報の伝達不足による事故リスクの増加、緊急時の対応遅延などです。
専門用語や業界用語の理解が難しいことや、日本語で書かれたマニュアルなど、外国人が業務で言語のハードルを感じる場面は多岐に渡ります。
また、コミュニケーション不足は職場での孤立感を生み、メンタルヘルスの悪化や離職につながる場合もあります。
対応できるリソースが不足している企業においては、採用プロセスの見直しや外国人材の受け入れ態勢の整備が後回しになってしまうことも少なくありません。しかし、トラブル防止には前もって対策をしておくことが大切です。
住居確保と生活面の問題
外国人労働者の住居確保は大きな課題です。保証人確保、不当に高い敷金・礼金の要求、外国人への賃貸を拒否する物件の多さなどが障壁となっています。自治体サービスへのアクセスも容易ではなく、多言語対応の遅れや手続きの複雑さが問題です。
また生活習慣の違いによる近隣トラブルも報告されており、これらが地域住民との関係悪化につながるケースも見られます。地域社会との相互理解促進や多文化共生に向けた取り組みの重要性が高まっています。
外国人労働者の問題・トラブルの事例
事例①低賃金に関する事例
2012年、中国人実習生として岐阜県内の縫製工場で働いていた中国人女性のケースです。勤務は1日約15時間、残業は月200時間に上り、休みは正月の数日しかなかったといいます。県の最低賃金は当時、時給738円でしたが、会社からは基本給が5万円、残業代は時給300~400円と説明されたと証言しています。
最低賃金のことを知った女性が是正を求めると解雇され、帰国を強制されました。10年以上前の事例ではありますが、決してこのようなことが起こらないよう、再発防止が求められます。
出典: Business & Human Rights Resource Centre『日本:外国人技能実習制度問題 時給300円、休みは年に数日 抗議したら強制帰国 海外からも厳しい目に』(2015)
事例②長時間労働に関する事例
2015年にベトナム人技能実習生として来日した29歳の男性は、名古屋市のゴム製品製造工場で1日8時間、残業が発生すれば1日10時間の立ち仕事に従事していました。疲労が溜まり、帰宅するとすぐに眠るという日々を送っていたといいます。
月の手取りは約10万円で、渡日時に借りた約160万円の借金返済と家族への仕送り、自身の生活費に充てると「手元にほとんど残らなかった」と語ります。現場責任者以外は全員外国人という環境で、過酷な労働条件に置かれていたこの男性の経験は、一部の技能実習生が直面する長時間労働の実態を如実に示しています。
事例③コミュニケーション不足に関する事例
「外国人労働者とのコミュニケーション実態に関する調査」では、外国人労働者と同じ職場で働いた経験のある会社員の55%が「意思疎通が十分でない」と回答しています。特に店舗・工場・現場系(ノンデスク産業)では約6割が意思疎通に問題を抱えていると答えており、飲食・宿泊、製造、物流・輸送の業種が上位を占めています。
回答者の約半数(49%)が「口頭で説明をしても正しく伝わっているか把握できない」と回答し、「専門用語や業界用語が伝わらない」「業務マニュアルや指示書が読めない」といった課題も挙げられています。
外国人労働者の受け入れによる企業のメリット

外国人労働者の受け入れは、さまざまな課題がある一方で、企業に多くのメリットをもたらします。人手不足解消だけでなく、企業の成長と発展に寄与する多面的な価値について考えてみましょう。
多様な視点と創造性の獲得、職場の活性化、グローバルマインドの育成など、労働力確保以外の付加価値が期待できます。また、現地市場のニーズや文化的背景の理解、ビジネスネットワークの拡大、グローバル人材としての育成など、海外展開時の橋渡し人材としても活用できます。
さらに、既存の日本人社員のコミュニケーション能力の向上、マネジメント能力の向上、異文化適応力の強化など、既存社員の異文化理解促進効果も期待できます。
外国人労働者受け入れによるメリットについてより詳しく知りたい人は、外国人採用のメリット・デメリットを徹底解説の記事もぜひご参照下さい。
また、実際に外国人採用を行っている企業の事例もあわせてご覧ください。
外国人労働者が働きやすい環境づくりのポイント

外国人労働者と日本人の同等待遇の確保
外国人労働者を日本人と差別せず、法にのっとって雇用しましょう。国籍に関係なく、最低賃金を守り、残業代もきちんと支払う必要があります。
また、日本人にとっての常識が外国人にとっては非常識な場合もあるため、さまざまなケースを想定し、疑問の余地なく労働契約を交わすことが重要です。多言語での雇用契約書作成は、言語の問題からくるトラブル回避に効果的です。
日本のメンバーシップ型雇用と海外のジョブ型雇用の違いを理解し、外国人労働者に対しては選考時点から職務内容や期待される役割を明確に提示することも重要です。求人票で業務内容や評価基準を具体的に説明することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
適切な労働条件とコンプライアンス・法律の遵守
外国人労働者に対しても労働基準法を遵守しましょう。最低賃金、労働時間、休憩、休日などの基準を適切に適用することは必須です。時間外労働を行う場合は36協定を締結するなど、法的要件を厳守しましょう。
特に技能実習生や特定技能外国人については、在留資格に応じた制度や規制を理解し、適切に対応することが重要です。労働条件通知書の多言語化、残業時間の適切な管理、休暇取得の促進など、健全な労働環境の整備が求められます。
外国人を採用した場合にのみ必要な手続きや適用される法律もあります。法律違反は「知らなかった」では済まされず、不法就労助長罪などに問われることもあります。不法就労助長罪は入管法に基づき、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる場合もあります。
企業にとって大きなリスクとなるため、自社だけでは不安な場合は、外国人採用に詳しい人材紹介会社や行政書士などの専門家に相談することも検討しましょう。
明確なキャリアパスと評価制度
外国人労働者にとって、キャリアパスの不明確さや昇進・昇格基準の曖昧さは大きな不満要因です。日本の年功序列型と異なる海外のキャリア概念を理解し、外国人労働者の価値観に合った人材育成制度の整備が重要です。具体的な目標設定、定期的なフィードバック、スキルアップの機会提供など、成長を実感できる仕組みが効果的です。
海外では職務や成果に基づく評価・報酬が一般的なため、日本の評価制度についても丁寧な説明が必要です。職務範囲の明確化と同時に、スキルや実績に応じた昇進・昇給の仕組みも整備すると良いでしょう。
言語とコミュニケーションのサポート
日本語によるコミュニケーションが難しい外国人労働者には、多言語での情報提供が重要です。就業規則や安全マニュアルなどの重要書類は母国語または英語で提供しましょう。
多言語対応のITツール導入など、外国人労働者が業務を行いやすい環境整備も効果的です。翻訳アプリ、多言語マニュアル、視覚的な業務支援ツールなどの活用により、言語の壁を低減できます。
文化と宗教への配慮
外国人労働者の文化や宗教に配慮した職場環境の提供に努めましょう。宗教的事情での休暇取得や礼拝スペースの設置など、多様な価値観を尊重する姿勢が定着率向上に繋がります。
食事面では、ハラールやベジタリアンなど食文化への配慮が挙げられます。お弁当を持参して食べられるスペースがあったり、社内イベントで食材に配慮したりすることで、食事に制限がある社員も安心して勤務できます。また、母国の祝日や文化的に重要な日への理解と配慮も大切です。
相談しやすい体制の構築
メンター制度や相談窓口の設置など、外国人労働者が抱える悩みや問題に対応できる体制を整備しましょう。すでに外国籍社員が在籍している場合は先輩社員がメンターになり、業務上の相談だけでなく、初めての日本での暮らしをサポートするなど、安心して仕事ができる環境づくりが大切です。
業務上のコミュニケーションがとりやすい職場にすることで、仕事の効率性向上のほか、外国人の定着率向上にもつながるでしょう。
また、住居確保や生活立ち上げのサポートなど、生活基盤整備への支援も重要です。母国とのコミュニケーションを容易にするためのインターネット環境整備もしておくとよいでしょう。
可能であれば多言語対応の相談窓口を設置したり、定期的な面談を実施することで、問題の早期発見と解決が可能になります。在留資格、医療、住居など専門的な相談に対応できるネットワークを構築し、包括的なサポート体制を整えることが理想ですが、初めての外国人採用で分からない場合はプロのエージェントに相談するのが安心です。
社内における外国人採用への理解促進
一般的に新入社員を迎えるのと同じように、入社後は、歓外国人社員を受け入れる側の理解促進も重要です。特に初めて外国人を採用するケースでは、どんな国民性の方が入社するのか、仕事の進め方はどうなるのか、スムーズに意思疎通ができるのかなど、心配事が尽きないでしょう。
現場の社員が混乱しないよう、どのようなバックグラウンドの人が入社するのか、入社前に事前に共有しておきましょう。オンラインでミーティングを行い互いに顔を見るなどして、不安を払拭するのも効果的です。
歓迎会を通じて異文化理解を深めるなど、チーム全体のコミュニケーションが活発になるような雰囲気づくりができると、自然に会社になじむことができます。
多様なバックグラウンドを持つメンバーが互いを尊重し、それぞれの強みを活かせる職場づくりが理想的です。国籍や文化の違いを超えた一体感の醸成は、職場の活性化と創造性向上に繋がるでしょう。
外国人労働者問題に対する政府の取り組み
日本政府は増加する外国人労働者の受け入れと定着促進のため、さまざまな政策を進めています。
2019年4月に導入された特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため創設された在留資格制度です。
特定産業分野で一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れ、最長5年間の就労を可能にしています。現在、介護、建設、農業など16分野で運用されており、日本の労働市場における重要な位置を占めつつあります。
また、注目すべきは2024年3月に政府が閣議決定し、同年6月に可決・成立した「育成就労制度」です。この制度は2027年頃の施行が予定されており、技能実習制度に代わる新制度として位置づけられています。
育成就労制度の主な特徴は以下の通りです:
人材育成と確保の両立 | 単なる労働力確保ではなく、育成期間(3年間)で特定技能1号水準の人材育成を目指す包括的なアプローチを採用 |
企業責任の明確化 | 受け入れ企業には適切な労働環境提供や教育プログラム実施が求められ、違反事業者には厳格な処分が適用 |
監督体制の強化 | 外国人材の権利保護と適正な育成環境確保のため、監督体制が大幅に強化 |
キャリアパスの明確化 | 育成就労から特定技能へのステップアップルートを明確化し、長期的なキャリア展望を提供 |
また、政府は外国人材の生活環境改善にも取り組んでいます。「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」では、多言語対応の相談窓口整備、医療アクセス改善、子女教育支援などが進められています。
こうした制度改革と並行して、外国人労働者の権利保護も強化されています。労働基準監督署による監視強化、外国人技能実習機構による監査体制整備、人種差別的な行為への対策など、さまざまな面から外国人労働者の権利擁護が図られています。
企業は、これらの政策動向を把握し、法令を遵守しながら戦略的な外国人採用・育成計画を立てることが重要です。また、制度変更に伴う対応準備も必要であり、特に技能実習生を受け入れている企業は、育成就労制度への移行に向けた準備が望まれます。
まとめ:外国人労働者が働きやすい環境を実現するために
外国人労働者の受け入れにおける課題を解決するには、予防・早期発見・適切な対応の3つの視点が重要です。予防的な受け入れ体制の整備、定期的な面談による早期の問題発見、そして適切な対応プロセスの確立が効果的です。
必要に応じて専門家やエージェントの活用も検討し、企業と外国人労働者双方にとって価値ある関係構築を目指しましょう。Connect Jobは、採用から定着までトータルサポートで多文化共生型の職場づくりをバックアップします。
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