【徹底解説】インド工科大学採用のメリット、選考プロセス、注意点|外国人エンジニア採用は難しい?即戦力採用が叶うIIT採用とは?
日本国内の採用難易度が年々高まっている昨今、海外採用に目を向ける経営者、人事担当者が増えています。エンジニア採用において、IT分野での優秀な人材が多く、その人口からも注目されているのがインド採用です。
中でも、インド工科大学(Indian Institutes of Technology; IITs)は世界的な著名人、有名企業の経営層をも輩出することで知られています。
Google CEOのスンダー・ピチャイ氏、Twitter 元CEOのパラグ・アグラワル氏、元ソフトバンクグループ副社長兼 ヤフー取締役会長のニケシュ・アローラ氏などの出身大学としても有名です。
今回は、インド出身の学生を採用したいと考えている方のために、インド工科大学の基本情報、優秀なIT人材を採用するための特殊な選考プロセス、インド採用のメリットをご紹介します。
目次
7.まとめ
1.即戦力を採用できる!インド工科大学は、インド国内の最高峰の理工系高等教育機関
インド工科大学(Indian Institutes of Technology; IITs)は、インドの経済的・社会的発展に資する人材を養成、特に科学者と技術者の育成を目的に1947年に設立されました。
インド国内最高峰の理工系高等教育機関で、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)がモデルとなっています。
・インド全土に23校ものIITキャンパスが存在する
1つの大学のように聞こえますが、インド全土に23校あり、それぞれのキャンパスは独立運営されています。
全23校のIITの中でもOld IITsと呼ばれる7校は、Computer Science分野における世界大学ランキングでも上位に入る難関校です。特に、IITマドラス、IITデリー、IITボンベイ、IITカンプール、IITカラグプールは世界ランキング100位以内に入る最難関校です。
IITハイデラバードなど、Old IITs以外の16校はNew IITsと分類されます。
・IITの規模観:IITデリー校の場合
IITは小規模ながら国内屈指の頭脳を集結している点が1つの特徴です。
デリー校でみても、教職員数470名(他に、一般スタッフ1700名)、学生数 1500名、理工系院生1500名、博士課程650名、他にMBA課程等に300名といった規模感です。
・入学倍率は50~100倍!?インド工科大学の入学試験
IITでは、IIT-JEE (Joint Entrance Examination: IIT合同試験 )と呼ばれる独自の入学試験を実施しています。全国から10万人を優に超える志願者が応募するといわれており、倍率は50~100倍にのぼります。
入学試験は、英語もしくはヒンディー語で行われ、科学、物理、数学の3科目のみを予備試験(Screening Test)、本試験(Main Examination)の二段階です。
大学課程への毎年の入学枠は、IITデリー、IITカンプール、IITボンベイ、IITチェンナイ、IITカラグプール、IITハイデラバード合わせて3000人足らずのため、この6校を例に挙げると倍率は約60倍です。
その激しい競争を勝ち抜いた学生が在籍しているのがインド工科大学です。
入学試験を突破した学生は、成績に応じて希望する学部・キャンパスを選択します。
2.外国人エンジニア採用において、インド工科大学の学生を採用するメリット
・世界でも上位の優秀学生を採用できる
IITで求人を出すと、1ポジション数十名から千名の応募獲得が可能です。実際に、当社で実施したIIT最大規模のカラグプール校の選考では、1ポジション約1000名の応募がありました。
ハイレベルな学生からさらに選考で絞り込みをしていくため、結果的に非常にレベルの高い学生の採用が可能です。
・短期間で採用活動をできる
IITの選考期間は約10日間です。
プレースメントに参加し、インド工科大学学生を採用するメリットは、優秀学生を短期間で採用できるという「採用効率の良さ」です。
1ポジションでも、10ポジションでも、その年の採用ポジション数、採用要件に応じてどのキャンパスに求人を出すか決め、集中的に採用活動をすることができます。
・基本的に、IIT生の内定承諾後の辞退はゼロ
IITの場合、基本内定承諾後の辞退は原則ありません。
ただし、海外の大学院進学が決まるのが翌年春のため、そこで Ivy League(アイビーリーグ)など欧米のトップ大学から、フルスカラシップでの奨学金付入学オファーなどを受け取る等、辞退リスクは一部存在します。選考会での内定承諾後に他社選考を受けられないというルールがあるのですが、大学院への進学はインド工科大学も容認しています。
ただ、この奨学金も非常に狭き門であり、当社過去10年の実績で内定後の辞退率はわずか5%となっています。
3.インド工科大学(IIT)採用の注意点、日本とは異なる特殊な選考プロセスとは
IITでは、激しい競争を勝ち抜いて入学し、世界の名だたる企業から引き合いのある学生のために特殊な選考フローが組まれています。
・IIT学生を企業が直接リクルーティングすることはできない
IITでは、企業が独自に学生にアプローチすることはできず、プレースメントセンター(就職課)が学生の就職活動と企業の採用活動を取り仕切っています。
基本的に、IITの学生を採用したい企業は、指定された期日に大学を訪問し、その日に採用選考を行う「オンキャンパスリクルーティング」のスタイルをとっています。
※新型コロナウィルスの影響で2020年、2021年はオンラインにて実施
・IITの選考スケジュール
IITのオンキャンパスリクルーティングが行われるのは12月ですが、その前段階の準備が非常に重要です。その背景を解説します。
・Dayという仕組み
IITでは、10日間面接を実施する期間が設けられており、これを「Day」と呼びます。Dayは1~10日目まであり、1日目は「Day1」、2日目は「Day2」と呼ばれます。
企業が学生に対して面接を実施できるのは、そのうち1日のみと定められています。
面接を実施した企業はその日中に内定を出す必要があり、同様に学生もその内定を承諾するかを当日中に決めなければなりません。
日本の就活のように、3社内定をもらって承諾先を選ぶ、といったことができないのです。
また、1日のなかで面接を実施できる時間は6~8時間と大学によって定められており、その時間内で面接をどのように組むかは企業に委ねられています。1名でも多い学生に会うとなると、必然的に1回の面接で内定出しを判断することとなります。
このため、優秀な学生ほど、「早いDay」「早いSlot」で内定を獲得し就活を終了していくシステムとなっています。
・候補者目線で見るDay1、Day2
Day1に面接のある学生であれば、Day1にもらった内定の中から1社内定先を決める、もしくは、全て内定を断り翌日のDay2に参加するか2択です。
つまり企業としては、プレースメント初日のDay1に参加する企業が圧倒的に基本すべての希望していていた学生と面接することができますが、Day3に割り振られた場合、面接を予定していた学生がDay1で受けた会社の内定を承諾すると、その学生との面接は行うことができません。
・面接日に「Day1」を確保するためには
では、どのような企業がより早いDay、面接枠を確保できるのでしょうか?
企業の選出基準:
企業が参加できるDayは、過去の採用実績、給与、インターンシップの実施有無、働きやすさをベースにインド工科大学側の独自の採点方式により決定します。
基本的には学生に人気の企業、つまり年収が高い企業から順に振り分けられることがほとんどです。10年以上インド採用に携わる当社調べによると、Old IITのDay1に参加可能な求人は、年収700万円以上という1つの目安が存在します。
しかし、何らかの理由で過去に実績があるにもかかわらず前年よりも遅いDayの指定があるといった事例も見受けられます。
その際は、エージェントやパートナーを介して調整することで、大学側との交渉力をもって調整することが可能です。大学側との調整に不安がある企業様は、当社のようなエージェントを利用することをお勧めいたします。
4. IITプレースメントに必要な事前準備と採用活動の詳細
企業担当者がするべき事前準備について、時系列でご紹介します。
・採用ポジション決定
IITのプレースメントで募集するポジションを決定します。
・参加したいキャンパスを決定
23校あるIITキャンパスのうち、どのキャンパスで選考を実施するか検討・決定します。
・求人票作成、募集開始
求人票を作成します。
インド人の候補者向けに、日本の求人票と異なる項目を含めて記載します。
・説明会(PPT)登壇
面接前にPre Placement Talkと呼ばれる説明会を実施します。募集期間中の貴重な学生とのタッチポイントになるため、自社の採用プロモーションをしっかりと行います。
・事前スクリーニング
数百から数千にのぼる応募のなかから、実際に面接する候補者を選出します。
・Dayの調整
IITが面接を実施するDayを調整します。
・面接準備、オファーレター準備
面接スケジュールを組みます。当日にスムーズに内定出しができるよう、オファーレター等を事前に準備します。
・面接実施
現地もしくはオンラインで面接を行います。スムーズな面接運営のための候補者調整等も行います。
すべての面接を終え、候補者からの内定承諾の返答を待ち、すべての選考プロセスは終了となります。
5.インド工科大学の採用事例紹介
2023年度にConnect Jobを活用してインド採用を成功させた事例をご紹介します。
採用の経緯や受入体制などについても触れていますので、ぜひご覧ください。
その他、メーカー、IT系企業、メガベンチャー等、に多くご利用いただいています。
採用事例1 大手メーカー
他エージェントの利用を経て、インド特有の煩雑なオペレーション負担軽減のため、Connect Jobを利用。
インド工科大学(IIT)以外の大学でも自社が求める人材が採用できるかのマーケテイングも兼ねて、IIT3校とインド理科大学院(IISc)やインド私大での採用を実施。 結果的に7つのポジションで8名採用、IIT以外の大学からも複数名の採用を実現。
● 採用ポジション
研究開発(AI、ロボティクス、データサイエンス等)、ソフトウェアエンジニア
● 選考を実施した大学
IITボンベイ、IITカラグプール、IITハイデラバード、インド理科大学院(IISc)、ほかインド私大
採用事例2 IT系メガベンチャー企業
5年以上に渡り企業の採用フェースに応じて定期的にConnect Jobを利用。
インド工科大学トップ校であるOld IITsとConnect Jobの強いパートナーシップを活かし、交渉が難しい面接枠「DAY1」を全参加スロットで確保。
IIT3校で選考を実施し、3ポジション合計7名を採用。
● 採用ポジション
ソフトウェアエンジニア(機械学習、バックエンド、ほか)
● 選考を実施した大学
IITカラグプール、IITグワハティ、IITハイデラバード
採用事例3 大手情報・通信サービス企業
約10年、継続してConnect Jobを通じたインド採用を実施。
Connect JobとIITの強いパートナーシップを活かし、強豪校であるIITボンベイの面接枠「DAY1」を毎年確保。
その年採用したいポジションをピンポイントで採用。
少人数採用でも日本では出会えない優秀な人材の採用が可能。今後もインド採用を継続予定。
● 採用ポジション
研究開発職(AI)
● 選考を実施した大学
IITボンベイ
7. まとめ
事前に大学に書類提出などの手間はかかるものの、面接から内定出し、内定承諾まで1日で完結することができるインド工科大学の特殊な選考について理解いただけたでしょうか。
当社にIIT採用をご依頼いただいた際は、IITやその他のインド私大を含めインド採用戦略の検討から、事前スクリーニングの膨大なデータの精査、インドパートナーを通じたDayの交渉、当日の面接運営、内定承諾後から入社前までのフォローまで、採用活動を伴走させていただきます。
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