現場からの高評価を受け、6年間インド工科大学(IIT)採用を実施。多国籍企業として成長を続けるため、株式会社デンソーが進めるグローバル採用とは
更新日:10月11日
世界トップクラスの自動車部品メーカーとして知られる株式会社デンソー(以下、デンソー)。同社は、1949年の設立以来、自動車業界の変革に常に対応し、自動車のあらゆる分野で製品を提供してきました。近年、蓄積されたノウハウを活かし、自動車以外の領域に進出。「地球にやさしく、すべての人が安心と幸せを感じられるモビリティ社会の実現」を目指してEV、水素エネルギー、自動運転やスマート農業など、先端技術を駆使した多種多様な事業を展開しています。
また、デンソーは次世代の技術者とエンジニアの育成にも力を注ぎ、多様性を重視した採用活動を行っています。多様なバックグラウンドの社員は、デンソーのイノベーションを支えています。
世界各国で採用活動を強化する中で、2018年からはインド工科大学(以下IIT)での採用活動を開始。コロナ禍を経て、インド採用を継続しています。さらなるグローバルでの成長を目指して今後もグローバル採用を拡大する予定です。
本インタビューでは、デンソーのグローバル採用や技術革新にかける思いについて詳しくお聞きしました。
ゲスト:
株式会社デンソー 人事部 採用室 キャリア採用課長
近藤 宏彰 氏(以下、近藤)
株式会社デンソー ソフトウェア戦略企画部
グローバルリソーセス統括室長(兼)ソフトウェア改革統括室 開発力強化
服部 勲 氏(以下、服部)
営業担当・インタビュー:フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 西川 侑磨(以下、西川)
執筆者:Connect Job編集部 中川 莉沙、矢野 雅斗
目次
1. 世界中の拠点をつなぐ人材の獲得を目指し、日本拠点で外国人材を直接採用
── まず、なぜインドの学生、特にインド工科大学(IIT)で外国籍の方を積極的に採用しているのか教えていただけますか?
近藤: デンソーはグローバル企業として、世界中で多くの事業を展開しています。将来的に、海外で研究開発を強化していきたいという思いが強く、そのために日本で研究開発の方法を学び、それを海外に持っていくことができるような人材を求めています。
服部:現状、弊社では海外拠点で1200名を超えるソフトウェアエンジニアが活躍しています。一方で、日本とインドの仕事の文化や慣習の違いによって難しいところがあります。
日本で直接採用することで、インドの文化を理解している人材を国内拠点に持つことができ、より密に協力できるのではと考えています。加えて、彼ら彼女らがインドに戻ってブリッジ人材として活躍することに対する期待があります。
インドの豊富なエンジニア人口を活かし、インド現地で他のIT企業との連携を深めていくうえでもメリットが大きいだろうと考えております。
── 外国人材の中でも特にインドにフォーカスした理由、インドでの採用活動を始めた時期を教えてください。
服部: 2018年から始まりました。最初はジェトロさんからのお話があり、日本国内で活躍するOut-Car(アウトカー)領域の人材の採用を行いました。採用過程でインドでリクルーティングを行ったのですが、当時インド法人にいた私がサポートしていました。
イベントにて日本国内での外国籍の採用活動を行い、2名のインドの方を採用しました。その中の1名が、現在東京でソフトウェアエンジニアとして活躍しているアマンです。(詳しくは候補者インタビューにて掲載)
西川: 当時はインドにいらっしゃって、そこからサポートしていたのですね。
服部: そうです。最初はサポート役でしたが、それをきっかけに次は我々主導でインドの採用をしてみよう、という話になり、進めることになりました。
2. 最新技術の知見を持ち、職場でも熱心に学ぶインド工科大学出身の学生は現場でも好評
── 2018年から2024年にかけて、継続して採用を続けている中で、現場からの声や変化などはございますか?
服部: 日本の学卒と同じ条件で選考を行い、採用していますが、現場からはインド出身の方は特に熱心に学び、どんどん吸収していくと聞いています。また、最新技術にも精通しており、新しい知識を活かして現場で活躍しているという声が多く聞かれます。
西川:それは、大学で学ばれた知識を活かしていらっしゃるということでしょうか?
服部:大学での知識と、自発的に吸収しているものと、両方じゃないですかね。やはりIITは
先生方も優秀な方が多いので、最先端技術にも触れる環境があるようですね。
近藤: 面接でも、IITの学生は勉強量や勉強時間が圧倒的に多いと感じますね。学生時代の時間のほとんどを勉強やプログラミングに費やしている様子が伺えます。
服部:キャンパスや寮の環境もそうさせているとは思いますが、趣味と勉強が一緒、という感覚ですよね。学生たちは常にラップトップを持ち歩いてよく作業していますし、あの雰囲気はIITならではだな、と思います。
3. 採用エージェント フォースバレー・コンシェルジュ(Connect Job)の活用方法
── 御社は以前からインド採用のご経験がありますが、弊社サービスを利用いただいた背景、ご感想を教えていただけますか?
近藤: 昨年は本当にフォースバレーさんに丁寧にご支援いただき、IITだけでなく、インドの他の大学の採用についてもご提案をいただきました。
特にインド理科大学院(IISc)からの採用は我々にとっても初めての経験でした。今年もその経験を継続したいと考えております。
昨年の結果を踏まえての弊社の方針と、頂いた提案が合致しており、今年もぜひお願いしたいと思っております。
また、現地採用の場合は採用後もビザ申請などの手続きがある中で、フォースバレーさんは採用後の入国に至るまでサポートがしっかりしている点も大きかったです。
服部: インドにいるときからフォースバレーさんのことは知っていて、17年に渡る実績をお持ちだと拝見していました。やはり、入社に至るまでサポートをしてくれるのが非常にいいところだと思っています。
4. 多様なキャリアパスが見込めるデンソーで挑戦・成長し、活躍してほしい
── IITの学生に対するデンソーの魅力やアピールポイントについて教えてください。
近藤: デンソーはグローバルに展開しており、世界中のあらゆる拠点で活躍するチャンスがあります。また、自分のキャリアを自分で築いていける環境が整っており、いつどこで何をやりたいかそれぞれ描くチャンスが一人ひとり平等に得られます。
日本企業ではありますが彼らの母国であるインドにも拠点はありますし、世界中様々な場所で働けるのは1つの特徴かと思います。
チームワークを重視する社風にも強みがあります。領域としてはモビリティ関係が多いですが、そのほかにも物流、工場・ものづくり、まちづくり等様々な領域での事業展開をしているので多くの選択肢を持って働くことができます。
服部: 車の会社というイメージはあるものの、車のことを知らなくても、入社後に学んでいけるチャンスがあり、幅広い分野での活躍が可能です。
これからの時代、「クラウドでつながるクルマ」「社会とつながるクルマ」などアウトカーの領域では、サービス、インシュアランス、バンク等の連携も考えられますから、ますます幅広い分野で学生さんが持っている知識を活かせると考えています。そして、自分の選択次第で新しいスキルを磨いていけるチャンスがある会社だなと思っています。
西川:インド含め海外の企業の場合は完全に職種別採用となり、入社後のキャリア選択の幅は狭くなりやすい傾向にありますし、幅広いキャリアを選択できるというのはインドの学生にとって魅力的に映っていると思います。
服部:そうですね。現在、キャリア転身のプログラムがあり、部署が人員を募集している時に社員が自分から応募することが可能で、自由なキャリア選択ができます。ぜひ皆さんに活用してもらいたいと思っています。
── 入社した社員の方へのインタビューでは御社は成長機会が多いと伺いました。インドの新卒採用者に対して、どのような研修を行っていますか?
近藤: 日本の新卒の方は3~4カ月ほどの工場実習や部署研修を行うのに対して、外国籍の方は数日の会社情報などについての導入研修の後、すぐにプロジェクトに参加するOJTの形をとっています。
西川: 本当に即戦力ですね。
近藤: そうですね。想像している「仕事内容」とのギャップなく活躍してほしいという点もあり、インド採用を始めた当初から、彼ら彼女らにフィットするやり方は何か、試行錯誤して行っています。
また、実践していく、失敗を否定しない社風が全社的に根付いているため、OJTで活躍できる土壌があると感じています。
服部: 最近では社内のイーラーニングだけでなく、外部からの育成も取り入れており、オンラインでの教育コンテンツは誰でも自由に受講できます。
挑戦に積極的な社風も成長スピードを上げることを後押ししているかと思います。
西川: いつでも自由に学ぶ機会がある仕組みは、ハングリー精神ともフィットしていそうですね。
5. 採用活動の成功を実感、今後もグローバル採用を続けていきたい
── 今後のIITの学生の採用について、現場の声など、温度感を教えてください。
近藤: 弊社では、2018年からインドでの採用活動を続けています。現在進行形で活躍している社員が増えてきたこともあり、IITの採用が成功しているという実感が社内で広がってきています。
人的資本経営の観点からも、専門性の高い人材を採用するため、事業を大きく成長させる手段の一つとして、グローバル採用を継続していこうという認識です。なかでも、インドの方は高いスキルを持っているので、今後も注力していきたいと考えています。
服部: 今年は特に量産設計からも採用ニーズが挙がったことが大きな変化です。これまでの採用活動の成功が、当初の目的だった研究開発の部署だけでなく、様々な部署でさらなる採用を後押ししているように感じます。
── そんな御社にとっての「グローバル採用」とは、なんでしょうか。
近藤: 高度な技術・スキルを持ち、グローバルに事業に貢献できる人材を採用すること、そして社内の多様性を実現することのために、欠かせないものだと思います。
会社にとっては事業成長、多様性の点で意義のあることと考えていますし、入社する方にとっては企業としてキャリアの様々な選択肢、そして自己実現の機会を提供することができると感じています。
服部: グローバル採用には2つあります。
1つは今回のように直接日本で採用すること、もう1つは海外現地での採用です。そして、将来はそれを融和していかなければなりませんので、そこをどうしていくか、がこれから「GLOBAL CORE」を目指していくうえで重要になってくると感じています。
昨年海外のグループ会社から若手20名が国内に来てもらい、1週間の合宿を行いました。
お互いのことを知る、高めあう、ことができるといい
その方々がコアになって、Global DENSOを牽引して頂けたらなと思います。
世界中に拠点をもち、各拠点で現地採用を行っている当社にとって、グローバルな融和を実現し、グローバル企業として成長していくためには必要なことだと感じています。
── 今後就職活動を行うIITの学生に伝えたいことは?
近藤:デンソーは、働きやすい環境だと思います。
やりたいことを言える風土ですし、海外含めキャリアの選択肢が幅広く、IIT出身の先輩社員も多く活躍しています。ぜひ多くの方にお会いしたいと思っています。
服部:インドはソフトウェア開発で活躍している国だと思います。これまで学んだ知識をぜひ活かして働いてほしいです。デンソーは、社員のスキルアップのためにも様々な取り組みを行っていますので、ぜひとも入社し、成長しながら活躍してほしいと思っております。
西川:本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
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